20260125 東淀川教会 降誕節第四主日礼拝 宣教要旨「バチや厄や地獄はあるか」マタイ福音書5章21−26節
聖書箇所
マタイによる福音書5章 21-27節
「あなたがたも聞いているとおり、昔の人は、『殺すな。人を殺した者は裁きを受ける』と命じられている。(21)
しかし、私は言っておく。きょうだいに腹を立てる者は誰でも裁きを受ける。きょうだいに『馬鹿』と言う者は、最高法院に引き渡され、『愚か者』と言う者は、ゲヘナの火に投げ込まれる。(22)
だから、あなたが祭壇に供え物を献げようとし、きょうだいが自分に恨みを抱いていることをそこで思い出したなら、(23)
その供え物を祭壇の前に置き、まず行って、きょうだいと仲直りをし、それから帰って来て、供え物を献げなさい。(24)
あなたを訴える人と一緒に道を行くときには、途中で早く和解しなさい。さもないと、その人はあなたを裁判官に引き渡し、裁判官は下役に引き渡し、あなたは牢に投げ込まれるに違いない。(25)
よく言っておく。最後の一クァドランスを支払うまで、決してそこから出ることはできない。」(26)
宣教要旨「バチや厄や地獄はあるか」
ヘゲナ」という言葉は「地獄」などと一律に訳されたりもしますが、日本語の二元論的な「天国・地獄」のニュアンスとは異なり、誤解を招く恐れがあり「ヘゲナ」そのままの表記が多いと思われます。
5章での法、決まりとは何かの話に続き、イエスが「昔の人は」との語り口は、イスラエル人、ユダヤ人を意識しているのなら「モーセの十戒」によれば、と語るはず。イエスのもとに集まってきている人々はイスラエル人とは限らず、様々な人種、難民、貧しい人、病人たちも集まってきていました。
「人を殺してはいけない」規定は、モーセ5書以外にもあっただろうし、他の宗教にもあって多くの異邦人も子どもの頃に聞いていたと思われます。日本でも「どんなひどい目にあっても、他の人にとってひどい人であっても、人を殺すことだけはしてはいけません」と聞かされてきた子どもたちは多いはずです。
神さまに命を吹き込まれた、神の子たち、兄弟姉妹たちが、民族や国や風習の違う相手を馬鹿にしたり加害者や悪人に仕立てたり復讐を誓ったりすると、それぞれの心の中にマグマのような憎悪、悪意が生じてしまう、それを「ヘゲナ」とイエスは呼んでいるように思われます。
人を憎悪や復讐心の塊にしてしまう「ヘゲナ」に支配される前に、直接会って、互いの誤解を解き合い、過ちは認め合い、許し合い、和解することが、人を殺さない、殺し合わない、他者や他国から裁かれないために最も大切なことだとイエスは語っているのでしょう。
生まれてから、「なぜ自分や、自分の愛する人がこんなひどい目に合わなければならないのか」「なんの因縁なのか」と自問自答し続けてきた人はたくさんいます。 仏教の善因善果・悪因悪化、神道の厄除けなど、日本人の心に因縁論、因果論、厄を恐れる心などがあります。苦しんでいる人を可哀想に思い、相談相手になろうとしても、“悪因、厄、不幸が移る”ことを恐れて、関わり合いを避ける「心」も根深く残っています。
無期懲役の判決を受けた山上徹也氏の母親Aさんへの非難はいっぱいありますが、彼女を襲った苦しみを想像します。
若き日に、Aさんの母親が白血病で急死。Aさんの弟が中2で事故死。
結婚した夫、土木工事の責任者が過労とうつ病とアル中で自殺。誕生した長男が脳にできたリンパ腫で重度障害。統一協会の教会員(食口)の接近。統一教会によるマインドコントロール。因縁トーク。夫の生命保険6千万円献金 夫名義の不動産売却4千万円献金。
自分の身に起こったあらゆる不幸は悪因悪果の結果でこのままでは地獄行き。
「奪われた神の財産を統一協会を通して神に返し因縁を転換しなければならない。この世では親族や子どもたちにとって私は加害者だが、多額の献金によって、死んだら天国に行けることがわかって、後から感謝されるはず、というAさんの今も変わらない確信があります。
1980年頃から相談を受けた牧師たちや弁護士たちの被害救済活動は続けられていましたが、自民党勝共議員と一体化した統一教会の激しい集金活動や募金活動があり、母親Aが脱会して統一教会を訴えない以上、宗教法人として守られており、家族や子どもたちの窮状を救うのは困難でした。宗教法人の解散命令が確定すれば、献金の取り消しや宗教団体の加害行為を訴えやすくはなります。
更には友人・親族・隣人の不幸に対し、“不幸が移る” “悪因の被害に巻き込まれる”などと恐れつつ、苦しんでいる隣人から離れる、距離を取る風習もこの国の人々の心に強く残っています。
山上哲也氏がなぜ韓鶴子など統一協会の指導者ではなく、日本の安倍晋三元首相を狙ったのかという意見もありますが、統一教会発行の雑誌類、広報誌に、安倍晋三氏の統一協会を讃えている写真などがたくさんあります。Aさんにとって、安倍晋三氏は自分の信仰をわかってくれるヒーローであり、「統一教会の正しさ」の証明そのものです。おそらく家の中あちこちに貼りまくっていたと思います。統一協会の犯罪性、加害性だけでなく、統一教会と蜜月の関係を続けてきた自民党及び議員各位の責任は重大ですし、具体的内容も追及されるべきです。
イエスが病んでいる人々に直接触れながら共に癒されるための働きを続けられた姿を改めて心に刻みたいと願います。