20260510 東淀川教会復活節第六主日礼拝 宣教要旨「眉に唾して」マルコ福音書13章14−23節 宣教担当 金田恆孝
聖書箇所 マルコによる福音書13章 14〜23節
「荒廃をもたらす憎むべきものが、立ってはならない所に立つのを見たら――読者は悟れ――、その時、ユダヤにいる人々は山に逃げなさい。(14)
屋上にいる者は下に降りてはならない。家にある物を取り出そうとして中に入ってはならない。(15)
畑にいる者は、上着を取りに戻ってはならない。(16)
それらの日には、身重の女と乳飲み子を持つ女に災いがある。(17)
このことが冬に起こらないように、祈りなさい。(18)
それらの日には、神が天地を造られた創造の初めから今までなく、今後も決してないほどの苦難が来るからである。(19)
主がその期間を縮めてくださらなければ、誰一人救われない。しかし、主はご自分のものとして選ばれた人たちのために、その期間を縮めてくださったのである。(20)
その時、『見よ、ここにメシアがいる』『見よ、あそこだ』と言う者がいても、信じてはならない。(21)
偽メシアや偽預言者が現れて、しるしや不思議な業を行い、できれば、選ばれた人たちを惑わそうとするからである。(22)
だから、気をつけていなさい。一切のことを、前もって言っておく。」(23)
宣教要旨「眉に唾して」
イエスを、民族的な危機からイスラエル民族やユダヤ国を救うメシア、王と期待する人々はとても多かったのです。
イエスが宣教の最後に神殿を中心としたエルサレムに向かったのは、そのようなメシア像、勝手なイメージを否定し、神殿に神がおられるわけではなく、神の国は神とともに歩む、仲間とともに歩むあなた方の中にあることを伝え、国が滅ぼうとも、神殿がなくなろうとも、仲間とともに戦争や災難から逃げなさい、とのメッセージを伝えるためでもあったと思われます。
神の名を語る指導者が現れたり(トランプさんがご自身を世界のメシアとして印象付けたがっている絵画を発表されていますが)、国や民族を守るために立ち上がれ、と人々を煽る指導者が現れたとき、“読者は悟れ”とは、彼らこそ危険であり、その扇動に決して乗っかってはならないとの、イエスのメッセージと重なっていると思われてなりません。
日本で“眉に唾をつけなさい”や、“眉唾”とは、うまい話や魅力的な話にもしかしたら騙されているかもしれないと思った時、眉に唾をつけると、相手の後ろに狸や狐の尻尾が見えて、ばかされずに済むと言う民間伝承に由来する言葉のようです。要するに、扇動者の言葉に乗ってはならない、の意味でしょう。
「屋上にいる者は下に降りてはならない。家にある物を取り出そうとして中に入ってはならない」などのイエスの言葉で思い出すのは2011年3月11日の大地震、大津波、そして今も続く原発事故、放射能汚染の実態です。福島第1原発事故に伴う原子力緊急事態宣言は今も続いており、メルトダウンしたデブリの取り出しすら、いつになったら完了するのか、確かな目処さへ立たないのが今の状況です。2025昨年11月1日時点で2万3701人が県内外に避難しているとのこと。
私的なことですが、先日、NHKの特集番組を見ました。そこで伝えられていたのは、「高度被ばく医療支援センター」で、拠点病院設置の準備や原子力災害時に拠点病院で対応できない重篤な被ばく患者の受け入れや、専門的な医療チームの派遣を行う機関の説明や、医療スタッフの動きなどを紹介していました。5キロはすぐ避難する範囲で、5~30キロには屋内退避拠点病院の設置と、高度被ばく医療支援センターが設置される、など。あたかも国は国民のことを最優先で考えている、というような雰囲気作りに感じられます。国民のことを第一義に考えるなら、放射能被害を作り出す原因そのものを除去すべきです。
現在の原発の運転中が7基。20基以上が停止中であり、廃炉措置中のものもあるが、国・政府は全体として原子力発電を推進中。原子力政策は米国の属国化している日本では米国の意向がすべての方向を決めているのでしょう。
停止中の原子炉を動かそうとする時、事故が起こった時の避難計画やら、住民の被爆を防ぐ計画、被曝が防げなかった場合の治療計画などが原子炉の再稼働の可否を分ける要因となるようです。原子炉周辺の住民の反対により原子炉の再稼働の可否が裁判になった時、避難計画の策定や、住民が被爆したときの治療体制を詳細に決めておくことが、再稼働にプラスに働く、という本音が見えると感じました。
地球の温暖化を防ぐためには原子力発電が最も良い、などは立証されておらず、原子力政策を進めるための詭弁と感じられます。事故の予防や事故処理のコストからも、決して経済的な発電システムではないことは明らかです。稼働できずに27年が経った「六ヶ所村の再処理工場」の理由も実態も明らかにされていません。日本が今抱えているプルトニウムの余剰在庫が約46トン(核弾頭約6千発分相当)となっていることの矛盾や危険性がほとんど議論されていない。現在中国を敵視するような首相の発言やら、沖縄諸島における対中国軍事シフト体制が構築されていますが、平和外交どころかとんでもない緊張と危機を作り出しているように感じられます。
原子力エネルギーの平和利用も原子力発電もいらない。原子炉を廃炉にし、原子力政策そのものをやめよう、という意見は根強くあり、そう主張している政党も運動もある。が、自民党が圧勝している現状で、原子力政策についての根本的な議論はなされなくなっている。むしろ、原子力発電被曝支援センター設置などの対策が「国の方針なら仕方ない。いざとなったら国が守ってくれる」という心理誘導によって原発再開が充分な議論も検証もないまま、なし崩しに進んでいく恐れを感じます。