20260614 東淀川教会礼拝宣教要旨「難民の主イエス」マタイ福音書12章9−21節

Pocket

このエントリーをはてなブックマークに追加

Table of Contents

聖書箇所
マタイによる福音書12章 9-21節

イエスはそこを去って、会堂に入られた。(9)
すると、片手の萎えた人がいた。人々はイエスを訴えようと思って、「安息日に人を癒やすのは、許されていますか」と尋ねた。(10)
イエスは言われた。「あなたがたのうち、誰か羊を一匹持っていて、それが安息日に穴に落ちたら、手で引き上げてやらない者がいるだろうか。(11)
人間は羊よりもはるかに優れた者ではないか。だから、安息日に善いことをするのは許されている。」(12)
そして、イエスはその人に、「手を伸ばしなさい」と言われた。伸ばすと、ほかの手のように元どおり良くなった。(13)
ファリサイ派の人々は出て行き、どのようにしてイエスを殺そうかと相談した。(14)
イエスはそれを知って、そこを退かれた。すると、大勢の群衆が付いて来たので、彼らを皆癒やして、(15)
ご自分のことを言い触らさないようにと戒められた。(16)
これは、預言者イザヤを通して言われたことが実現するためであった。(17)
「見よ、私の選んだ僕/私の心が喜びとする、私の愛する者を。/この僕に私の霊を授け/彼は異邦人に公正を告げる。(18)
彼は争わず、叫ばず/その声を大通りで聞く者はいない。(19)
公正を勝利に導くまで/彼は傷ついた葦を折ることもなく/くすぶる灯心の火を消すこともない。(20)
異邦人は彼の名に望みを置く。」(21)

 

宣教要旨「難民の主イエス」
 福音書では安息日にイエスが病人を癒したことが律法違反(礼拝をサボっている証拠? 信仰生活をしていない証拠?)として非難されたりしていますが、イエスたちの活動を神殿側が違反として非難している最大の問題点は、イエスたちは定められた神への礼拝を行なっていない、最も大切な神殿への義務を果たしていない、という非難の核心はそこにあったと思います。

 病気の原因たる罪や悪霊を祓うための神殿への生贄、ささげものを含む律法全体をイエスたちは無視し、神殿の許可なしに治療活動を行なっており、伝染病(らい病)など、病気が治ったかどうかの判定・証明書の発行を神殿に委ねていなかったことが、神殿の病気に対する権威の無視、重要な神殿全体の収入源の妨害行為であったからです(ルカ福音書17章11-19)。

イザヤ書を通して、マタイ福音書の記者が語るのは、イエスを用いた神の福音は、アブラハムの血統という民族的プライドから離れられないイスラエルの民、ユダヤ人にではなく、異邦人(イスラエル・ユダヤ人以外の民・難民)こそ受け入れやすい福音であり、異邦人こそ復活のイエスに望みを置くことができる、というマタイ福音書の主張が感じられるのです。

 イエスが、神殿側の律法や神殿側の治療、治療のための神への捧げ物の規定などを無視して直接治療を行なっていたことについて、日本の歴史の中で似たことがありました。明治の廃仏毀釈や修験道禁止令がよく似ています。仏教による民衆への影響力を削ぎ、天皇制と国家神道を上位に置き、修験道の人々が行なっていた薬草や薬による治療を禁止させ、民衆を東洋医学ではなく西洋医学に依存させるための重要な政策でした。

修験道禁止令(明治5年/1872年)とは、明治新政府が神仏分離令の一環として出した「修験宗廃止令」のこと。これにより山伏の多くが還俗(僧侶をやめて一般人になること)を余儀なくされ、修験道は一時的に公式な宗教としての存続を禁じられた。
廃仏毀釈: 禁止令と同時に発生した廃仏毀釈により、修験道に関わる多くの寺院、仏像、経典などが破壊・撤去される被害を受けた。
江戸時代までの役割: 修験者(山伏)は、山岳修行で培った薬草の知識を活かし、加持祈祷とともに独自の薬(陀羅尼助や万金丹など)を檀家へ配布していました。翌年訪問した際に薬が減っていれば代金を回収する「入れ薬(配置売薬)」というシステムで生計を立てていました。
明治の禁止令と売薬業への移行: 明治5年(1872)の「修験宗廃止令」により、山伏は平民になることを余儀なくされ、宗教活動としての祈祷や神札・薬のセット配布が禁止されました。このため、山伏たちは配札ルートをそのまま活かし、宗教的なお札の配布をやめて「売薬(配置売薬)」の専業へと移行しました。
近代医薬制度との摩擦
明治政府は「医制」を制定して西洋医学を導入し、医師資格を持たない者が薬を調合して配布・販売することを厳しく取り締まるようになりました。修験者たちが長年配ってきた民間薬・和薬もこれ以降、医薬品医療機器等法(旧・薬事法)のルールの下で厳格な製造販売許可を得る必要が生じました。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です