20250720 東淀川教会礼拝宣教要旨「民族ファースト?」ルカ福音書12章52〜59節
ルカ福音書12章52〜59節
ルカ福音書12章52〜59節
今から後、一家五人は、三人が二人と、二人が三人と対立して分かれることになる。(52)
父は子と、子は父と/母は娘と、娘は母と/しゅうとめは嫁と、嫁はしゅうとめと/対立して分かれる。」(53)
イエスはまた群衆にも言われた。「あなたがたは、雲が西に出るのを見るとすぐに、『にわか雨になる』と言う。実際そのとおりになる。(54)
また、南風が吹くと、『暑くなる』と言う。事実そうなる。(55)
偽善者よ、このように地や空の模様を見定めることは知っているのに、
どうして、今の時を見定めることができないのか。」(56)
「あなたがたは、何が正しいかを、どうして自分で判断しないのか。(57)
あなたを訴える人と一緒に役人のところに行くときには、途中でその人と仲直りするように努めなさい。
さもないと、その人はあなたを裁判官のもとに引っ張って行き、裁判官は看守に引き渡し、
看守は牢に投げ込むだろう。(58)
言っておくが、最後の一レプトンを支払うまで、決してそこから出ることはできない。」(59)
宣教要旨「民族ファースト?」
かつての遊牧生活では群れや家の首長(リーダー)の考えや方針にみんなが従うのが当然、という伝統がありました。一人ひとりの考えは違って当たり前、それぞれが個人として尊重されるべき、というイエスの“自立の勧め”としてここを読むことができます。
ガリラヤの漁師たちだけでなく、もともと遊牧民、移動の民だったイスラエルの人々は、明日の天気、季節の流れを読む能力がとても高かったのでしょう。
世の中のエライ人々、ローマ側の役人や軍隊や神殿の権力者たちは、人々を上下や、中心(権力者)に近い、遠いなどに分断し、分けて支配し管理します。支配の末端が役人です。
訴えられたら、役人のところに行くまでに、相手と和解しない、というイエスのメッセージは、「人々の間でどのようなトラブルや意見の違いがあっても、権力者に依存したり裁判官に裁いてもらおうとは思わないほうがいい。権力者に分断され、中心により近いか遠いかの序列化され、善悪の程度を一方的に決められるまえに、自分たちで仲直りしないさい、民事的に解決を図りなさい。互いに相手を裁かず、赦し、助け合いなさい」とイエスは語っているように感じます。
今、参議院の選挙の真っ只中。「日本人ファースト」を頻繁に口にする党が若者にかなり支持されている様子。かなり国体第一主義で、日本人のプライドを取り戻そう、日本に在住している外国人が優遇され、日本の富を奪われている、みたいな論調に感じます。
日本に在留する外国人の数は、中国、ベトナム、韓国、フィリピン、ブラジル系など2024年末時点で約377万人とのこと。
総人口1億2500万人に占める外国人の割合は約2.6%。お隣の韓国で5%。一つの国で外国人が3%以下なんていう国は珍しく日本はかなり特殊なのでしょう。2024年に難民認定申請を行った外国人は12,000人余。難民と認定し受け入れた数は176人, 難民が生まれ続けている世界の現状から見ればかなり恥ずかしい数字だと思われます。
東淀川教会でも、フィリピンから日本語学校に来て、日本語を勉強しながら老人福祉施設で働く青年を短い間でしたが支援しました。その時見えてきた現実は、「日本語教育機関への留学生」での学費名目の搾取、技能実習制度という名の低賃金、労災認定を受けられない、最低賃金すら守らない、労働搾取など外国人労働者の人権侵害の実体が見えてきました。「日本人ファースト」を叫ぶ前に、恥ずかしい「日本ワースト」こそが改善されなければ、と思います。