20250803 東淀川教会聖霊降臨節第九主日・平和聖日礼拝 宣教要旨「心理誘導・マインドコントロール」マルコ福音書13章7-18節
2025年8月3日
Table of Contents
聖書箇所
マルコによる福音書 13章 7〜18節
戦争のことや戦争の噂を聞いても、慌ててはいけない。それは必ず起こるが、まだ世の終わりではない。(7)
民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々に地震があり、飢饉が起こる。これらは産みの苦しみの始まりである。(8)
あなたがたは自分のことに気をつけていなさい。あなたがたは地方法院に引き渡され、会堂で打ち叩かれる。また、私のために総督や王の前に立たされて、証しをすることになる。(9)
こうして、まず、福音がすべての民族に宣べ伝えられねばならない。(10)
連れて行かれ、引き渡されたとき、何を言おうかと心配してはならない。その時には、あなたがたに示されることを話せばよい。話すのはあなたがたではなく、聖霊なのだ。(11)
兄弟は兄弟を、父は子を死に渡し、子は親に反抗して死なせるだろう。(12)
また、私の名のために、あなたがたはすべての人に憎まれる。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。」(13)
「荒廃をもたらす憎むべきものが、立ってはならない所に立つのを見たら――読者は悟れ――、その時、ユダヤにいる人々は山に逃げなさい。(14)
屋上にいる者は下に降りてはならない。家にある物を取り出そうとして中に入ってはならない。(15)
畑にいる者は、上着を取りに戻ってはならない。(16)
それらの日には、身重の女と乳飲み子を持つ女に災いがある。(17)
このことが冬に起こらないように、祈りなさい。(18)
宣教要旨「心理誘導・マインドコントロール」
イエスの時代、ローマの支配と闘おうとする、イエスをリーダーとして担ぎ出そうとする熱心党などの勢力もありました。イエスの十字架以後、イエスの復活を伝えるキリスト教に対して、反ローマ、反社会的勢力として警戒し摘発しようとする勢力もありました。
“まもなく終末(世の終わり)が訪れる”とか、“敵が私たちを滅ぼそうとしている”などと不安を煽り、不安な人間が集団として戦闘状態(カルト化)になることがあります。それに対して、イエスのメッセージは「いつも目を醒ましていなさい」「冷静でありなさい」(マルコ福音書13章33節)でした。
多くの人々が新たにひとりの人を熱狂的に救世主、カリスマ的な指導者として立て、ひとりひとりの判断を放棄し、一致して熱狂的に追従しようとするファシズム的な現象に対してイエスは注意を促しています。
カルト(熱狂)の集団心理は、祭りの心理とも共通して参加する者に地域的な仲間意識や多幸感をもたらしますが、異なった民族や異なった信仰や文化の人々に対する敵対心が引き起こされ、敵視する相手側と戦い続けることを生きがいとなり続けます。
関西の、とあるプロ野球チームの応援に明け暮れる人を親に持つ子が、自分をカルト二世として、親のカルト性を分析したものに目がとまりました。“熱狂”を理解するためにあえて取り上げました。
カルト(熱狂)にはまっている大人に対するカルト二世の分析
球団の設立1935年 信者数1000万人
聖地巡礼年間300万人
家族ぐるみの信仰は珍しくない(一緒に熱狂したほうが家庭は平和)
あるメディアと深い関係があり、関西の信者は夕方6時からのTV番組を必ず視聴する
信仰上見ない新聞、見ないTVチャンネルがある
多くの企業がスポンサー 熱狂する人々は企業にとってもお客様
財界人・芸能人・政治家にも信者がいる
隠れ信者はいない(公表をためらわない)
信者同志は、信者は根っから善人と信じている
信者の多くがトラウマを抱えている(癒やされたい人々)
十数年に一度ドブ川に飛び込む神事がある
信者はいつからなぜ信者になったか覚えていない
ある団体に激しく敵対するが歴史的にはやられっぱなし
戦闘気分のため湯船にゆったり浸かるのを嫌う信者が多い
いつか神が再臨するのを待ちわびている
アルファベットの「G」だけをみると不吉だと感じる
救いがない
いつか報われる日が来ると信じている……
熱狂する人々を嘲笑するためにこれを書いているわけではありません。ただ熱狂によっては、祭りの熱狂のような心地よいものだけとはかぎらず、いろんな危険をも孕んでいることを覚えておきたいのです。
熱狂的な集団心理がスポーツなどの競技にとどまるだけなら実害は少ないのですが、集団の熱狂が男女差別や民族差別、弱者差別を生み出し、排除や民族の虐殺まで生み出したことは、ナチズムや戦時下の日本軍の実体でも明らかです。
熱狂的な民族主義に鼓舞される若者の姿を感じます。イエスの「いつも醒めていなさい」を心に刻みつつ、ヤバい熱狂状態を感知するアンテナを持っておくべきだと思います。巻き込まれる、感染してしまうのを予防するためにはどうすればいいのか、あるいは、はまり込んでいる人を引っ張り出すにはどうしたらいいのか、など興味や関心のある方は牧師までお申し出ください。