20251012 東淀川教会礼拝宣教要旨「目を醒ましているとは」マタイ福音書24章43−51節 担当:金田恆孝

Pocket

このエントリーをはてなブックマークに追加

Table of Contents

マタイ24章43−51 節

このことをわきまえていなさい。家の主人は、盗人が夜のいつごろやって来るかを知っていたら、目を覚ましていて、みすみす自分の家に忍び込ませたりはしないだろう。(43)

だから、あなたがたも用意していなさい。人の子は思いがけない時に来るからである。」(44)

「主人から、時に応じて食べ物を与えるようにと、家の使用人たちを任された忠実で賢い僕は、一体誰であろうか。(45)

主人が帰って来たとき、そのように働いているのを見られる僕は幸いである。(46)

よく言っておくが、主人は彼に全財産を任せるに違いない。(47)

しかし、それが悪い僕で、主人は遅れると思い、(48)

仲間を叩き始め、酒飲みどもと一緒に食べたり飲んだりしているとする。(49)

もしそうなら、その僕の主人は、全く思いもよらない日と時に帰って来て、(50)

彼を厳しく罰し、偽善者たちと同じ目に遭わせる。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。」(51)

マタイによる福音書25章 13節
だから、目を覚ましていなさい。あなたがたはその日、その時を知らないのだから。」(13)


宣教要旨「目を醒ましているとは」
ここに登場しているのは「家の主人」「家の使用人たち」「家の使用人たちを任された忠実で賢い僕」「主人に忠実ではない悪い僕」「悪い僕の仲間たち」「人の子」です。全体の構成から判断すると「家の主人」は善人ないし神様。「家の使用人」は「忠実で賢い僕のもとで働く人々」「主人に忠実ではない悪い僕」「悪い僕の仲間たち」。「人の子」はイエス・キリストを指している、というのが多くの註解書の解釈です。

「目を覚ましていなさい」「醒めていなさい」とは、「騙されないよう気を付けなさい・他人に心を操作されないように」と重なるメッセージです。

携帯電話に象徴される「顔の見えない、なりすましが可能な情報機器」を用いたネットワークは簡単に人を騙すことができる道具です。これまでパソコンや携帯電話で詐欺に遭った方々も多いと思います。いつの時代も“正直な人”や“困った人を助けたいと思っている人”ほど、被害に遭いやすいのです。

 イエスの語りの中心は「災害はいつどのように起こるかわからないし、悪人や盗人がいつどのように接近してくるかわかっていれば被害に遭うことはないはず。それがわからないからこそ騙されるわけだけれど、パニックにならず、相手に一方的にのせられず、煽動されたり心理誘導されたりせず、慎重に、丁寧に対応しなさい。心のどこかはいつも冷静に醒めていなさい」という警告でもあるのでしょう。(利害抜きでなんでも相談できる友人はかけがえのない財産です)

 45節の“忠実で賢い僕”とは、社会からつめたくあしらわれ闇に置かれた人々に対し、様々な規模の炊き出しと疾病のケアを行い、弱っている人々への食事の提供と、そのために働く人々(使用人)の食事を用意するのが父なる神に忠実な賢い僕であり、イエスや仲間たちの行動を想起させていると思われます。

 48節の“悪い僕”とは、本来は仲間である人を敵視したり差別したり、或いは「弱者の味方」を謳い文句にしながら、収容し、従属させ、本人のために支給された税金や手当て(公共の福祉目的のお金)を自分たちの食い物にする人々なのでしょう。

 ここでは「主人は良い人」前提で物語が展開していますが、主人が自分の利益最優先の、“蒔かぬところから刈り取る”ひどい主人だったらどうしたら良いのでしょうか。おそらくイエスは「誰がその食料を最も必要としているか」を冷静に判断し、求める叫び声や感情に左右されず、必要としているその人が食べられるよう計らいなさい」と言われるでしょう。

パレスチナのガザ地区から送られてくる映像には心が痛みます。停戦が実行に移され、飢餓にある人々に食料が届くよう願わずにはいられません。

「助け合い」とはそれぞれの顔や体が見える、一つの空間の中で“関係”と“共感”が生まれ、助け合う程度の判断も共感の中からその時々に応じて生じます。「一緒に飯を食う」「食べ物を分かち合う」から生まれる人間関係や相互理解から「助け合い」を始めよう、というのがイエスの実践的提案だったと思います。戦火と飢餓の真っ只中に復活のイエスは立っていてくださると信じます。

 初期キリスト教に「十分の一税」を教会を通じて納める、という考え方がありました。得た収入の十分の一を地域での「助け合い」に用い、余った税金を皇帝、王、国家に納める、という考え方。現代でも有効な考え方だと思うのですがどうでしょう。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です