20220220 礼拝宣教要旨「いちじくとぶどう」創世記3章士師記9章マルコ福音書11章他 担当 金田恆孝

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本日の聖書箇所(聖書協会共同訳)

  •  すると二人の目が開かれ、自分たちが裸であることを知った。彼らはいちじくの葉をつづり合わせ、腰に巻くものを作った。    創世記3 07 

 木々はいちじくの木に頼んだ。『あなたが私たちの女王になってください。』いちじくの木は言った。『私の甘い実、良い実を諦めて木々の上で葉を揺らすだけのものになれというのですか。』          士師記9 10-11 

   さらに干しいちじく一切れと干しぶどう二房を与えて食べさせると、元気を取り戻した。彼は三日三晩、パンも食べず、水も飲まずにいたのである。
                         サムエル記上3012 

 ソロモンの在世中、ユダとイスラエルの人々は、ダンからベエル・シェバに至るまで、どこでも皆それぞれ、自分のぶどうの木や、いちじくの木の下で安心して暮らした。                    列王記上5 05 

 イザヤが、「いちじくを干したものを取って来なさい」と言うので、人々はそれを取って来て腫れ物に当てた。するとヒゼキヤは回復した。 
                          列王記下20 07

 私は彼女のぶどうの木といちじくの木を荒らす。彼女は言う。「これは愛人たちが私にくれた贈り物。」だが、私はそれらをやぶに変え 野の獣が食い尽くす。                         ホセア書2 14 

 翌日、一行がベタニアを出るとき、イエスは空腹を覚えられた。そこで、葉の茂ったいちじくの木を遠くから見て、実がなってはいないかと近寄られたが、葉のほかは何もなかった。いちじくの季節ではなかったからである。イエスはその木に向かって、「今から後いつまでも、お前から実を食べる者がないように」と言われた。弟子たちはこれを聞いていた。  マルコによる福音書11 12-14

  宣教の要旨「いちじくとぶどう」

「いちじく」と「ぶどう」は、イスラエル民族の、命を宿し、産み、育む女性の体(子宮、乳房)を象徴する譬喩・暗喩であったと考えられます。

 創世記の男女の始まり、洪水神話などは、BC3500ー1000年頃栄えたシュメール文化の神話が取り入れられています。最初の人の肋骨から女が造られた、とは、言語学者からすれば、シュメール語のNin(女性)に続くTiの転記間違いで、Tiは肋骨ではなく、「いのち」と訳されるべきで、「土から造られた人から、命を生み出す母が分けられた」(おしべ、めしべを内包している単性生物から両性生物へ)と解釈するべき、とのことでした。

 いちじくの葉を腰に巻いた、とは、いちじくの葉が、二つに分かれた男と女の性を守り、“善悪を知る木”=倫理的な善悪・わきまえを知る始まりとなった、と理解するのが自然です。

 「いちじく」と「ぶどう」は、遊牧民の重要な行動食であると同時に、“産めよ増えよ地に満ちよ”の祝福のしるし、命を産み育てる女の象徴であるとともに、イチジクの干したものは薬としても用いられ、イスラエルの民に対する大切な食料、神の守りと育みと癒やしの象徴として旧約聖書各所で用いられています。
 ソロモン王の時代までは、いちじくとぶどうの祝福は奪われることはなかったが、それ以降、神からの叱責は続き、イザヤもホセアも、そしてイエスも神からの叱責を語り続けています。

 移動の民、いかなる民とも共存する民としての矜恃(ポリシー)を忘れ、他民族と争い、武力と権力と経済力を誇るようになり、他国を支配し、傲慢となったイスラエル民族(シオンの娘、と女性で表現される)から、「生めよ増えよ地に満ちよ」の祝福が取り上げられた、というのです。

 イエスの、イチジクを叱った、という奇妙な行為は、イエスによるエルサレム神殿での商行為妨害事件、ユダヤ指導者たちへの、激しい非難と叱責に平行する行為であり、それはかつてこの民は移動の民であり、イチジクとブドウによって養われ育まれていた、土地・領土を国家として所有する定着以前の民であったことを人々に思い出させるパフォーマンス・演出であったと理解できます。同時に、神はもはや「約束の民」、選民思想、自尊心を手放せない、セクト主義、神殿中心のユダヤ教の民をもはや守ってくださらないことを、神に代わって叱る、人々の心に届ける象徴的な行い、演出であった、と理解できるのです。

先週の出来事
ウクライナ情勢が緊迫している様子。ロシア軍19万人が集結しているとの報道。その背後ではすでに非肉体的な近代戦、膨大なAI(人工知能)によるサイバー攻撃が交わされていることが想像される。コンピューターハッキング、データ破壊、ドローンやロボット兵器、生物・ウィルス兵器など。想像するだけでもおぞましい。



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