20240915 東淀川教会宣教要旨「ユダの福音書8章」
※ユダの福音書(意訳)底本「解読 ユダの福音書」J.ファン・デル・フリート著 戸田聡訳
ユダの福音書八章
ユダの幻の説明とそれに続くやりとり(意訳)
1 イエスは答えて言った。「ユダ、あなたの星(運命)はあなたを誤らせています。」また続けて言った。「生存している、死すべき人間は誰も「草で葺かれた大屋根の大きな家」に入ることはできません。なぜならその場所、その大きな家は、聖なる者たちによって守られているところだからです。そこは、太陽も月も夜も昼も、人が認知できる何ものも関与できないのです。むしろ彼ら聖なる者はいつもその聖なる場所である「神の国」の中で、聖なる天使たちとともに立っているでしょう。
わたしはあなたに世の王国、国家というものの奥義・秘密を語りました。人々を奴隷のように体と心を縛っている「人の運命」の誤りや、人を支配する全ての国々の「作られた神話」についてあなたに教えました。
2 ユダは言った。「先生、もしかしたら私の子孫も「偽りの神、地獄の悪霊」に翻弄され続けるのでしょうか。」
3 イエスはユダに答えて言った。「わたしはあなたに全ての国々とそこに服従する人々の姿全体をあなたに見せましょう。あなたはそれらを見てびっくりし、うめき声をあげ続けるでしょう。
4 ユダは尋ねた。「わたしが負うことになった“一層多い重荷”とは何なのでしょうか。あなたはわたしを“大きな重荷や過酷な運命を負わされる世代”へと分たれたことになるのですが。」
5 イエスは答えて言った。「あなたは残りの世代の人々、国家や民族に属する者たちに呪われ続けますが、終わりの日には13番目の者、彼らを超えた者となって、彼らを導くようになるでしょう。」
宣教要旨「人の国・神の国」
ユダの福音書を読んでいると、この著者はイエスをアナキスト、無政府主義者のように描いているのではないかと感じたりします。
イエスが現れる以前の時代から、人や世の運命を星の誕生や消滅と重ねたり、ギリシャ神話のように「神々の物語」を星座で表現したり、人や世界の運命を天体の動きで占うことも行われていたようです。イエスの誕生の時と場所を星が案内した、という記事も福音書に出てきます。
奴隷の子として生まれ、一生奴隷として生きねばならない定めを、固有の運命・自分の星として受け入れるしかなかった情況はあったのでしょう。その星物語を壊したのがモーセでもありました。
3節の、「あなたに十二の、すべての王国、そこに属する人々の姿をすべて見せましょう。」の箇所は、マタイ福音書17章で、イエスとモーセとエリヤが空中で話し合う場面が描かれていますが、そこにユダが加わっているようなイメージが浮かんできます。
4節でユダが「わたしが受けることになる報い・重荷」についてイエスに問います。
5節でイエスは「あなたは十二の国々(人の国)、王が支配する国家が人々を守る”と信じる人々からも、民族の結束が人々を守ると信じる人々からも、自分たちこそが神に選ばれた民であり、異邦人は神に背く人であると信じる人々からも呪われ続けるでしょう。国家対立や民族対立や宗教対立の無意味が明らかになったとき、十二の国々が争い続けるのが終わる(終末)時には、あなたは十三番目の者、新たなリーダーとしてわたしとともに働き続けるでしょう。」と語っているようです。
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