20211128 東淀川教会宣教要旨「割礼は真の律法に非ず」担当 金田恆孝
本日の聖書箇所(聖書協会共同訳)
創世記17章9ー14節
神はアブラハムに言われた。「あなたと、あなたに続く子孫は、代々にわたって私の契約を守らなければならない。
私とあなたがた、およびあなたに続く子孫との間で守るべき契約はこれである。すなわち、あなたがたのうちの男子は皆、割礼を受けなければならない。
包皮に割礼を施しなさい。これが私とあなたがたとの間の契約のしるしとなる。
あなたがたのうちの男子は皆、代々にわたって、生後八日目に割礼を受ける。家で生まれた者、また、あなたの子孫ではないが、外国人から銀で買い取ったすべての者がそうである。
あなたの家で生まれた者、またあなたが銀で買い取った者は必ず割礼を受けなければならない。私の契約は、あなたがたの体に記された永遠の契約となる。
包皮に割礼を施さない無割礼の男子、その者は民の中から絶たれる。その者は私の契約を破ったからである。」
ルカによる福音書2章21節
八日がたって割礼の日を迎えたとき、幼子はイエスと名付けられた。胎内に宿る前に天使から示された名である。
ヨハネによる福音書7章22−24節
しかし、モーセはあなたがたに割礼を命じた――もっとも、これはモーセからではなく、族長たちから始まったのだが――。だから、あなたがたは安息日にも人に割礼を施している。
モーセの律法を破らないようにと、人は安息日であっても割礼を受けるのに、私が安息日に人の全身を治してやったからといって腹を立てるのか。
うわべで裁くのをやめ、正しい裁きをしなさい。」
宣教の要旨「割礼は真の律法に非ず」
“割礼”「これはモーセからではなく、族長たち(文化習俗)から始まった」とのメッセージはイエスの言葉由来と思われる。
古の伝統に固守し、モーセ由来の、神との契約、及び、互いに生かし合うための守るべき律法を守っていない、というのがイエスの言葉であろう。
割礼は男性、もしくは女性の性器の一部を切開又は切除する外科的施術で、ユダヤ教では神との契約のしるしとして男子誕生8日目に命名とともに行われ、イスラム教ではコーランにはないが慣行(スンナ)として行われ、宗教規範ではない、民族部族の慣例として男子や女子に対する割礼は赤道沿いのアフリカ住民、コーカサス地方その他に伝統習俗・規範として残っている。
「割礼」は、神との契約、“浄め”、献身儀式(通過儀礼)、部族民である証し、などの意味付けと、個人的なリピドー(性欲)、男女の自由な恋愛や性行為をタブー化し、部族・血族の承認のもとで男女の組み合わせと出産を奨励(管理)する伝統的仕組みだったと思われる。
男子のペニスの先端包皮をカットする「割礼」が多いが、女性の性器の一部をカットする「割礼」は現在でも30カ国2億人が受けているという報道がある。女性の人権を侵害する悪習として国連でも非難されているが、伝統文化としては近代・現代でも根深いものがある。心理学の祖といわれるジークムント・フロイト(ユダヤ人)著「性欲と愛の心理学」には「女性らしさを発達させるために、女性の割礼は有効である」との記述がある。
現代は「性」にまつわる感覚や意識が多様化し、民族や伝統のそれらと様々なところで軋轢が起こっている。身体的性別、意識的自我性別、対(ペア)として求める性別の違いなど、多様な組み合わせが多様な性的関係をつくり出している。また、身体的女性の生理の大変さ、出産の可能性を拒否して排卵のカット手術を求める人、精子をカットする人も。一方で受精卵の着床前遺伝子検査も選択可能になっている。婚姻制度、戸籍制度も変革を迫られている。
イエスの『心を尽くし、魂を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』これが最も重要な第一の戒めである。第二も、これと同じように重要である。『隣人を自分のように愛しなさい。』この二つの戒めに、律法全体と預言者とが、かかっているのだ。」(マタイ22:37ー39) イエスの言葉を中心に据えて、現代の混沌とした状況に光を求め、教会に集い、語り合うなかで混沌を読み解いていきたい。
先週の出来事
愛知県弥富市の中学校で3年生の男子生徒が刺され死亡した事件。逮捕された同級生の少年が、「生徒会の選挙で応援演説を頼まれたのが嫌だった」という意味不明な趣旨の供述? 不可解な闇だけが広がり、理解を拒否しているかのように感じる。