20220109 宣教要旨「後ろを見ずに逃げなさい」

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聖書箇所(聖書協会共同訳)
創世記19章 17節
彼らを外に連れ出したとき、主は言われた。「生き延びるために逃げなさい。振り返ってはならない。低地のどこにも立ち止まってはならない。山へ逃げなさい。滅ぼされないためです。」
列王記上 17章 2-9節
主の言葉がエリヤに臨んだ。「ここを去って東へ向かい、ヨルダンの東にあるケリトの渓谷に身を隠し、その渓谷の水を飲みなさい。私は烏に命じて、そこであなたを養わせる。」そこでエリヤはすぐに行って主が言われたようにした。すなわち、ヨルダンの東にあるケリトの渓谷に行ってそこに身を寄せた。すると烏が、朝にパンと肉を、夕方にもパンと肉を彼のもとに運んで来た。水は渓谷で飲んだ。だがしばらくすると、渓谷は干上がってしまった。その地方に雨が降らなかったからである。「すぐにシドンのサレプタへ行って、そこに身を寄せなさい。私はそこで一人のやもめに命じて、あなたを養わせる。」
ヨブ記38章 41節
烏の子らが神に叫び求め 食べ物がなくてさまようときに 烏に餌を備えるのは誰か。
マルコによる福音書13章 14節
「荒廃をもたらす憎むべきものが、立ってはならない所に立つのを見たら――読者は悟れ――、その時、ユダヤにいる人々は山に逃げなさい。
ルカによる福音書12章 22-24節
イエスは弟子たちに言われた。「だから、言っておく。命のことで何を食べようか、体のことで何を着ようかと、思い煩うな。命は食べ物よりも大切であり、体は衣服よりも大切だ。烏のことを考えてみなさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、納屋も倉も持たない。だが、神は烏を養ってくださる。まして、あなたがたは、鳥よりもどれほど優れた者であることか。

 宣教の要旨「後ろを見ずに逃げなさい」

「荒廃をもたらす憎むべきものが、立ってはならない所に立つのを見たら」とは、神、或いは最も神に近い者であると名乗る者が権力の座に就いた時、というような理解でよいと思われます。今日「カルト」と呼ばれるような現象が、圧倒的な力で迫ってきたときは「全力で逃げなさい」ということなのでしょう。
 国境、所有した土地に守られことのない移動民、遊牧民、流民にとって、戦争は避けなければならない。戦争とは勝つか負けるか、やるかやられるか、どちらかと思ってしまう。イスラエルの神はそのどちらでもなく「逃げよ」と命じる。しかも“決して振り返るな”と言う。戦えば勝っても負けても恨みは残り報復は続く。“殺すな”の戒は成就しない。いずれは対決しなければならない相手であれ、預言者エリアは神に命じられ逃げ切ったところで烏(カラス)に養われた。
 イエスもまた「必死で逃げなさい」。しかも誰かに匿ってもらえるところではなく、一時的な逃亡でもなく、「山に逃げなさい」と、徹底した逃避行を命じます。それだけが、神さまに守られながら本当の自由を獲得する道である、と語っているように思われます。
 あまりに有名な箇所。ルカ12章で“カラスのことを考えてみなさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、納屋も倉も持たない。だが、神は烏を養ってくださる”。ここを「空の鳥(とり)」と読み、“神からの愛の豊かさ”と人間中心に勝手に美しく解釈してしまいがちですが、のんびりと神の愛を賛美する箇所ではなく、危機迫る中でカラスのように山を越え、海を越え、国境を越え、振り返らず逃げなさい、のメッセージとして解釈すべきだと感じる。「必死に逃げて、その先はどうなるのか」などの心配も必要ない。カラスが養ってくれるよ」というイエスのメッセージが聞こえそう。

 カラスには暗いイメージが付き纏いやすい。動物や人間の死骸までついばむ嫌われものの“カラス”というイメージがある。イエスはこの身近な鳥、カラスに託して、どんな厳しい状況、環境でも、神はカラスを養っておられる。ましてや、ひたすら逃げてきた者たちを、神はカラスと共に養ってくださる、だから安心して「逃げなさい」。殺し合わず、仲間を殺されず、隣人、愛する者を生かす、守る命懸けの道を提示していると思われる。それは、争い、戦いを避け、自分以外を逃し、誰一人として巨大な攻撃に晒させず、一人で責めを負い、死刑囚となったイエスの行為と重なります。

 現代の逃げる場所、山はどこにあるのだろうか。“にっちもさっちも”いかない状況に追い込まれ、わざと罪を犯し、刑務所に逃げ込む事例が増えていると聞く。そのようなことになったら、刑務所以外に人の目に触れないところを発見し、隠れることができたら、神がカラスを遣わしてくださり、まことに困った「わたし」を助けてくれることを願います。

先週の出来事
西宮市の小中学高校の体育館を4年かけて空調設備施設にするとのこと。清掃衛生管理業者も導入されそう。事故や怪我やいじめ対策のための常時監視カメラも広がっていくだろう。プールももう数年使われていない。学校はこれからどう変わっていくのだろう。

 

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