20220123 礼拝宣教要旨「ぶよだらけの世界」出エジプト8章 マタイ福音書23章 担当 金田恆孝

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本日の聖書箇所(聖書協会共同訳)
出エジプト記8章 12~13節
 主はモーセに言われた。「アロンに言いなさい。杖を差し伸べて地の塵を打て。そうすれば、それはエジプト全土でぶよになる。」
 二人はそのように行った。アロンは杖を持って手を伸ばし、地の塵を打つと、人や家畜につくぶよとなり、地の塵はすべて、エジプト全土でぶよとなった。

マタイによる福音書23章 24~28節
 ものの見えない案内人たち、あなたがたは、ぶよは漉して除くが、らくだは吞み込んでいる。
 律法学者たちとファリサイ派の人々、あなたがた偽善者に災いあれ。あなたがたは、杯や皿の外側は清めるが、内側は強欲と放縦で満ちている。
 ものの見えないファリサイ派の人々、まず、杯の内側を清めよ。そうすれば、外側も清くなる。
 律法学者たちとファリサイ派の人々、あなたがた偽善者に災いあれ。あなたがたは白く塗った墓に似ている。外側は美しく見えるが、内側は死者の骨やあらゆる汚れで満ちている。
 このようにあなたがたも、外側は人に正しいと見えても、内側は偽善と不法とでいっぱいである。
※ブユ(蚋、蟆子、Black fly)は、ハエ目(双翅目)カ亜目ブユ科(Simuliidae)に属する昆虫の総称。ヒトなどの哺乳類や鳥類 から吸血する衛生害虫である。関東ではブヨ、関西ではブトとも呼ばれる。(※ ボウフラ 蝿 蚊なども含まれる)

宣教の要旨「ぶよばかりの世界」
 “ぶよ”や、“ボウフラ”や“蚊”は、水溜りや沼などにも条件次第でよく大量発生するようです。それへの対策は、水の流れを作る、生い茂った草木やヤブを切り払って太陽の光を入れる、などの“手入れ”であり、“殺虫剤を撒く”や、“コンクリートやアスファルトで埋め尽くす”ことではないはずです。それが自然の中の人間による“手入れ”なのでしょうが、コンクリートとアスファルトで埋め尽くされた現代の都市は自然への手入れ、共生ができなくなっていると思われます。
 出エジプト記の物語は、エジプト王政とその都市文明を支えていた奴隷たちがいたわけですが、奴隷たちの中の「イスラエルの民」の脱出を逃すまいとしたエジプト王と従属する民を大量発生したぶよが襲ったという記述です。水害や、天災が襲ったのではなく、ぶよが選ばれたのは、エジプトへの罰という意味だけでなく、自然や人間との関係を失ったエジプトに神の怒りが示された、との理解があったと思うのです。

 1970年頃まで、ブヨやボウフラやハエやゴキブリに対する敵対心、嫌悪感はずっとずっと低かったと思います。間違ってブヨやボウフラが口に入ってしまったとしても、死への恐怖を味わう人はいなかったと思います。

 現代の先進諸国・文明国家を襲ってパニック状態を引き起こしている(後進諸国?非文明諸国?のコロナ騒動情報はほとんど流れてこないのですが)コロナウィルス現象を、ぶよやボウフラや蚊の大発生、次々と変わる種類として捉えるとき、直感的ですが、ピラミッド型の都市文明や都市生活者の、自然との関わり方が、神さまから厳しく問われているのではないか、と思えるのです。
 自然との関わり方も知恵も忘れ、軍事力や、食糧、エネルギー、下水道設備、医療システムなどのライフラインに守られ、自然の中にあるウィルスや死を恐れて狂奔する、哀れな私たちの姿がここにあるとも思います。そんな私たち人間たちが行き着く生活環境は、居住・行動範囲を全て清潔な(タバコ禁止の)病院内的環境を保つための城壁に守られ、国家の政策を乱す人々を厳しく監視し、勝手な自己判断・自己決定を許さない国にすることかもしれません。そんな近未来を想像したとき、その城壁とは、まさに“白く塗たる墓”ではないでしょうか。

 イエスの、「ぶよを(布で)漉し」から、当時の神殿祭司、律法学者、律法で人々を管理する側の人々が、手洗いや沐浴の習慣を重視し、絶えず体を洗って自分たちの清さを保っていたという記録を思い出します。そんな彼らが「毛だらけハエだらけのラクダを飲み込んでいる!」というイエスの表現に、おそらく拍手喝采が沸き起こっていたと想像します。 らくだは現代で言えば自動車であり、便利な、仲間のような動物であり、疲れた人と一緒に水を飲む関係です。愛玩動物ではなく、肉や乳や毛を頂きながら、動物と共生する知恵や技術もすっかり私たちは忘れ去っています。

 ぶよは濾しながらラクダを飲み込んでいる、というイエスの声に、自然の中で生かされること、人間が自然な存在であること、動植物との共生を忘れてしまった私たちへの厳しい批判の声が聞こえていると思うのです。

先週の出来事

 香港では、台湾の中国権力に対する批判的な言動は厳しく取り締られ、リベラルな新聞社は潰され、ネットを用いた意見交換は絶えず監視され、労働組合も解散を命じられています。香港から多くの学生、若者が海外へ逃げ出している様子。そうなる可能性は大きいと思いますが、似たような状況になったとき、海外に逃げ出す力、気力をこの国の若者は持っているのでしょうか。

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