191110 宣教要旨 イザヤ書22:1-8 マルコ福音書9:9-13 「神の国と地上の国」宣教 金田恆孝

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イザヤ書22章1-8節

1 幻の谷についての託宣。あなたがたはなぜ、みな屋根にのぼったのか。

2 叫び声で満ちている者、騒がしい都、喜びに酔っている町よ。あなたのうちの殺された者はつるぎで殺されたのではなく、また戦いに倒れたのでもない。

3 あなたのつかさたちは皆共にのがれて行ったが、弓を捨てて捕えられた。彼らは遠く逃げて行ったが、あなたのうちの見つかった者はみな捕えられた。

4 それゆえ、わたしは言った、「わたしを顧みてくれるな、わたしはいたく泣き悲しむ。わが民の娘の滅びのために、わたしを慰めようと努めてはならない」。

5 万軍の神、主は幻の谷に騒ぎと、踏みにじりと、混乱の日をこさせられる。城壁はくずれ落ち、叫び声は山に聞える。

6 エラムは箙を負い、戦車と騎兵とをもってきたり、キルは盾をあらわした。

7 あなたの最も美しい谷は戦車で満ち、騎兵はもろもろの門にむかって立った。

8 ユダを守るおおいは取り除かれた。その日あなたは林の家の武具を仰ぎ望んだ。

マルコ福音書9章9-13節

9:9一同が山を下って来るとき、イエスは「人の子が死人の中からよみがえるまでは、いま見たことをだれにも話してはならない」と、彼らに命じられた。 9:10彼らはこの言葉を心にとめ、死人の中からよみがえるとはどういうことかと、互に論じ合った。 9:11そしてイエスに尋ねた、「なぜ、律法学者たちは、エリヤが先に来るはずだと言っているのですか」。 9:12イエスは言われた、「確かに、エリヤが先にきて、万事を元どおりに改める。しかし、人の子について、彼が多くの苦しみを受け、かつ恥ずかしめられると、書いてあるのはなぜか。 9:13しかしあなたがたに言っておく、エリヤはすでにきたのだ。そして彼について書いてあるように、人々は自分かってに彼をあしらった」。

聖書から聴く 「地上の国と神の国家」

アブラハムが居留した地パレスチナのカナン。飢饉をきっかけにエジプトに移動し、エジプト王の奴隷となり、やがてモーセに引き出されエジプト脱出を果たし、長年の放浪の末、カナンに入植したイスラエル12部族は大きな難民の集合体であった。元来遊牧民であり「神とともに歩む民・イスラエル」は、城壁や軍事力によって自分たちを守り武力で領土を拡大するという好戦的な民族ではなかった。溶け込むことが第一義であったはずである。彼らの侵入を阻もうとする側の城壁が崩れた、とは、排他的な土地支配を神は祝福しない、の意味と理解できる。
軍事的に強かった北のアッシリアが若干弱ったとき、イスラエルはそのチャンスを狙って近隣諸国との間に軍事同盟を結び、その中心となってアッシリアを滅ぼそうとした。他国に宣戦布告するような強い軍事国家を樹立しようとしたが、負けて多くの民がアッシリアの奴隷・捕囚となり、北イスラエル国は滅んだ。戦いの知恵や軍事力の拡大でこの民は傲慢となり、神によってのみ守られてきたことを忘れた。BC700年頃のイスラエルの様子が「幻の谷」として語り継がれた。
イエスの時代。巨大ローマ帝国と、イスラエル側ヘロデ、ローマ帝国に操られる傀儡政権のもとで、富める者と貧しい者との格差は広がり、「再びエリアがこの世に現れて心ない王たちと対決し、弱い立場の人間を解放してくれる、世の中を改めてくれるというメシア待望の機運が高まったと思われます。そのエリアはバプテスマのヨハネというかたちで現れたが、神の国を回復させようとした「エリア」をあしらい、王に殺されるままにしてしまった、との理解がイエスたちから広まっていったと思われます。
ヘロデ王やローマ帝国の為政者たちの行いを告発しつつ、社会的弱者のしんがり・最後尾に立って、神に向かって立ち上がらせようとするイエスたちの行為は、強い者、長いものに巻かれようとする世の中の秩序を大いに乱す者たちであったわけで、権力者たちやそれに追従する神殿政治にとって、イエスたちやそれに同調する人々を一挙に「犯罪者」として処罰する機会をうかがっていたと思われます。
その攻勢を自分ひとりだけに向けさせ、「戦争」を避けることが、仲間たちに理解されにくいイエスの主眼であったと思われるのです。その延長線上に“ユダの裏切り”があったと思えてなりません。

先週の出来事
京都アニメを襲ったとされる青葉容疑者が、「死刑になるために大人数の殺害を狙った」と話している様子。すでに死刑制度は犯罪抑止力にも反省を促す力にもならず、むしろ犯罪を促進する手段になっている。死刑という生命の処分装置をまず外すことから始めるべきだろう。

 

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