20221204 宣教要旨「神の女性イメージ」ホセア書6章6節 マタイ福音書12章1−8節 宣教担当 金田恆孝

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本日の聖書箇所

ホセア書6章 6節
私が喜ぶのは慈しみであって いけにえではない。神を知ることであって 焼き尽くすいけにえではない。
さあ、我々は主のもとに帰ろう。主は我々を引き裂いたが、癒やし 我々を打たれたが、包んでくださる。

マタイによる福音書12章 1-8節
その頃、ある安息日にイエスは麦畑を通られた。弟子たちは空腹になったので、麦の穂を摘んで食べ始めた。
ファリサイ派の人々がこれを見て、イエスに、「御覧なさい。あなたの弟子たちは、安息日にしてはならないことをしている」と言った。
そこで、イエスは言われた。「ダビデが自分も供の者たちも空腹だったときに何をしたか、読んだことがないのか。
神の家に入り、祭司のほかには、自分も供の者たちも食べてはならない供えのパンを食べたではないか。
また、安息日に神殿にいる祭司は、安息日の掟を破っても罪にならないと、律法にあるのを読んだことがないのか。
言っておくが、神殿よりも偉大なものがここにある。
『私が求めるのは慈しみであって、いけにえではない』とはどういう意味か知っていたら、あなたがたは罪もない人たちをとがめなかったであろう。
人の子は安息日の主なのである。」

宣教要旨 「神の女性イメージ」

(預言者ホセア) 北イスラエル王国の民たちが、経済の豊かさを求めてイスラエルの信仰を捨てようとしていた時(バール信仰で表現されている)、神殿娼婦で子ども三人いた女ゴメルを守るために妻として受け入れ、ゴメルから裏切られた後も子どもたちを我が子として守った預言者、というイメージです。“慈しみと赦しの主は決して民を見捨てない。主のもとに帰ろう”がホセアのメッセージだった。ホセアの言葉を引用し、イエスが語っている神、主のイメージは、男性的な、父なる神のそれではなく、女性的、母性的神のイメージです。服従させ捧げ物を求める神、裁く神ではなく、慈しみ、赦し、支え、待つ慈愛の神イメージです。

 マタイ12章。イエスの仲間たちは移動中の空腹を麦の穂を摘み、手で揉んで食べていた。監視していたファリサイ派の人々がそれを律法違反、違法行為としてあげつらい、イエスに詰め寄った。イエスは、ダビデ王の行為や神殿における祭司の暗黙の特権などを例にとって、人のために律法があり、律法のために人があるのではないこと、食べ物についての律法を守ることよりも、神の恵みを分かち合い、いただき、飢えを満たし合うことこそ神に喜ばれることと語ります。
 イエスが引用した預言者ホセアのメッセージ“主なる神が求めるのは いけにえ(犠牲)ではなく 隣人への慈しみである”の神イメージは、明らかに「父」ではなく「母」なる神イメージです。日本神話の天照大神は女性ですから、日本人にも理解しやすいと思います。

 何よりもイエスの神への祈り、呼びかけの始まり「アバ」は、幼児言葉であり、父・母両方を含む、日本の幼児言葉「ちゃん!」に近いと思われます。心理学では理想的男性イメージを「アニムス」、理想的女性イメージを「アニマ」と呼んでいますが、身体の違い、身体機能の違いとは別に、人の心は元来その両方を内包していると思われます。人の体であえて表現しますと、道具を使う右手が男性的役割、受け止める、支える左手が女性的役割とも言えます。人は両方の機能、両方の心を持っています。創世記でも、イーシ・イーシャに分けられる前のアダムは両性具有の「人」です。

キリスト教は遊牧民・イスラエル民族の「男性主導」文化を受け継ぎ、信仰や教義も男性主導に傾く傾向があった。パウロもそうです。この偏りを補ってきたのが「マリア信仰」だったと思います。そこから分かれたプロテスタント教会は、マリア信仰を受け継がなかったためカトリック以上に男性主導の感覚に陥りがちだと思われます。LGBTQや同性婚などの心の性、体の性の問題が議論されていますが、性差から生じる諸問題については、伝統や慣例・風習、生まれ育まれてきた感覚からではなく、双方の違いへの理解、尊敬(リスペクト)を土台に調和が目指されるべきなのでしょう。体は別々でも、心は「両性具有」が本質だと思われます。
 神は最も高いところから下を見下ろす神ではなく、世の、この世界の最後尾、しんがりにいてくださり、貧しい者、小さくされている人たちを支えて導かれる、というイザヤやホセアやイエスの教えてくださった神・主のイメージを、強い国を求める男性イメージが暴走しかけている現代だからこそ、見失わず、取り戻していきたいと願います。

先週のできごと

テレビでサッカーW杯を盛り上げている最中に、岸田政権は、休止原発の再稼働を加速させる方針を打ち出した。更に、軍事力関連では専守防衛の枠を超えてミサイル発射基地を叩くための「敵基地攻撃能力保有」を打ち出した。まるで自己制御能力を失って暴走を始めたロボットのような政局の危険を感じます。

 

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