20210411東淀川教会宣教要旨「主に任せよ 汝が身を」

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本日の聖書箇所(聖書協会共同訳)
レビ記13章 37〜40節
もし疥癬(かいせん)は元のままで、そこに黒い毛が生えているなら、疥癬は治ったのである。その人は清い。祭司はその人を清いと言い渡す。
男であれ女であれ、皮膚に斑点、すなわち白い斑点ができたなら、祭司が調べる。光沢のない白い斑点なら、それは皮膚に生じた白皮症だから、その人は清い。
頭に毛がない場合、その人は禿げているのであって清い。
詩編91編 1〜6節
いと高き方を隠れ場とする者は全能者の陰に宿る。私は主に申し上げる「わが逃れ場、わが城 わが神、わが頼みとする方」と。
まことに主はあなたを救い出してくださる。鳥を捕る者の網から死に至る疫病から。
主は羽であなたを覆う。あなたはその翼のもとに逃れる。主のまことは大盾、小盾。
夜、脅かすものも昼、飛び来る矢もあなたは恐れることはない。
闇に忍び寄る疫病も真昼に襲う病魔も。
マルコによる福音書14章 03節
イエスがベタニアで、規定の病を患っているシモンの家にいて、食事の席に着いておられたとき、一人の女が、純粋で非常に高価なナルドの香油の入った石膏の壺を持って来て、その壺を壊し、香油をイエスの頭に注ぎかけた。

復活節 第二主日礼拝 宣教要旨「主に任せよ 汝が身を」
 2020年1月から始まったコロナウィルスの本質はインフルエンザウィルスと同じだがその毒性が強い、と言われている。1918年(大正7年)スペイン風邪の時は、世界で5億人が感染し、4500万人が死亡。日本でも人口の43%が感染し、約39万人が死亡し収束に2年かかったとのこと(今日現在コロナウィルス感染者1.35億人死者292万人)。そのとき、国内は大きな不幸に見舞われ大パニックになっていたかと言えばそうでもなく、スペイン風邪の時ですら、年間死亡者数の第一原因は結核だったとのこと。現在の状況と比べてもはるかにとんでもない状況だったわけです。
 ちょうど、NHKテレビドラマで永井荷風原作の「流行感冒」で当時の様子を描いていました。マスクなどの防衛策は各自で工夫したようですが、ロックダウンなどもなく、蔓延防止策で国が人々の行動を統制するためやっきになるようなこともなく、みんなでパニック状態になる度合いも現在より低くかったと感じます。
 ベースに流れている風潮・感覚としては、誰が悪いというわけでもない、大地震と同じような天災であり、誰のせいでもありゃしない、どれほど気を付けていても「なるようにしかならない」「死ぬときは死ぬ」let it be みたいな心情・覚悟があったのではと感じます。

 レビ記における皮膚病・感染症について書かれたものを読むと、その“診断”があまりに大雑把なのに驚かされます。これで「汚れている」「治った(清まった)」など判断されたらたまらん、と思うのですが、実はもともと診断基準などなく、文字化されなかった、口伝の、先祖からの知恵、大雑把な伝承だったものです。ただ、誰かが最終判断と宣言をせねばならず、それが祭司の役目だったわけです。汚れた時の対策は一週間単位の自己隔離が伝染を防ぐ方法であり、現代とさほど変わりません。

 皮膚の色が白くなったら、或いは毛が生えてきたら治ってきた証拠、なんてのも面白いのですが、「ハゲは病気じゃない」などの記述は、ユーモラスな老賢人の知恵が人々に癒しと安心を与えていたと思うのです。

 死への恐怖を抱えながら病の床で祈るとき、“主の御翼のもとに”(詩篇91篇)と祈ったようですが、主に癒されることを願いながら、願いが叶わず魂が天に昇るときは精霊が鳥となってわたしを運んでくださるという覚悟と希望の両方を含む祈りだったのでしょう。

 ベタニアの「規定の病を患っているシモンの家」と書かれています。祭司長の指定・規定により、家ごと隔離され、近寄ってはいけないとされていたところでイエスたちによる食事会?宴会?が行われたとすれば、それ自体は社会の側からすれば反社会的行為になり、イエスたちのがわからすれば癒やしのわざであったことになります。
 一人の女(かつてイエスに癒された)がイエスの頭に注ぎかけた香油とは、治癒のための薬、包帯の役割を持ち、願い叶わず天にあげられるときには、全身を洗い清めるためのものでもあったようです。“もっとも大切な隣人への手当て”そのものだったと思うのです。

 イエスの語った、自分自身を愛するごとく隣人を愛せよ、の実践とは、疲労や空腹で倒れていると思われる者があれば一杯の水を持って駆けつけること。怪我か病気で倒れていると思われる者に対しては香油を持って駆けつけること。そして主なる神への祈りを共有すること。それこそが愛…そんなメッセージがあったように思われます。


先週の出来事 原発処理水の海洋放出が目前に迫っている。その先に、古くなった原発の再稼働計画も予定されている。ミャンマーでは軍事政権に抗議する多くの人々が次々と処刑されたり銃殺されている。今の大変なことは? コロナ騒動なんて実は小さいことかな?

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