20220522 宣教要旨 申命記14章 マタイ福音書23章14節「十分の一献金のルーツ」

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申命記14章 22節
あなたは、毎年、畑に種を蒔いて得るすべての収穫から、必ず十分の一を取り分けなさい。

申命記14章 28節
あなたは、三年の終わりごとに、その年の収穫の十分の一をすべて取り分け、町の中に置かなければならない。

申命記 14章 29節
あなたのような割り当て地や相続地のないレビ人や、あなたの町の中にいる寄留者、孤児や寡婦がやって来て食べ、満足するようにしなさい。そうすれば、あなたの神、主はあなたの行った手の業すべてを祝福されるであろう。

マタイによる福音書23章 14節
(★底本に節が欠けている箇所の異本による訳文)
律法学者とファリサイ派の人々、あなたがた偽善者に災いあれ。あなたがたは、やもめの家を食い物にし、見せかけの長い祈りをする。だから、人一倍厳しい裁きを受けることになる。

宣教の要旨「十分の一献金のルーツ」
 獲得・収穫できたものは神・自然からの恵みであり、それをすべて自分たちの財産とするのではなく、1割10%は「公」のため、幕屋・神殿、レビ人たちを通して提供する。それらは「やもめの家」など生活弱者に配られたり、宗教活動を行うレビ人の収入になったりと、いわば「みんなのための税金」の如く用いられたと思われる。

それでも助けを必要とする困窮を幅広く把握して適切に提供できるわけではない。28節の、「三年毎に収穫の十分の一をすべて取り分け、町の中に置く」規定は、配布から漏れた人々、寄留者、孤児、寡婦など、食料の足らない人々が自分からそれを調達できる制度であったと思われる。それらは、国や王による「上から下への給付・配給」などでは決してなく、「共に生きる人々が横の関係で助け合うことを神が求めている」という遊牧民的な感覚が根底にあったのだろう。
(もしも現代社会の税金が全ての収入の10%となり、それが生活困窮者・“貧しい者”がいなくなるよう用いられれば、神の国・理想社会に大きく近づくと夢想するのは誤りでしょうか?)

 イエスの時代。かつての人々の相互的な扶助体制は、神殿や国家を経由して上から下に向かって配布されるものとなり、律法によって献げられた献金や献品は、国や神殿のために用いられても、それを必要不可欠としている人々には届かなかった。
 律法学者とファリサイ派=学者・政治家・評論家たちのきれいごとと嘘に満ちた欺瞞をイエスは非難していると思われる。

 現代、「福祉」は国による社会的弱者に対する上から下への「サービス」と化しています。彼らを「当事者」と呼び、「当事者の権利と人権を守るためにはもっと良質のサービスが必要だ」と語る専門家・知識人・政治家たちは多い。しかし「サービス」の延長線上に、隣人の困窮や痛みを自分のこととして感じる共生社会はない。如何に善意に満ちた支援であれ、「支援」と「被支援」の壁は残る。

 民族差別、部落差別と戦う主体は「当事者である」という主張はあるが、優生思想が根底に残るこの社会は、「知的障害」「精神障害」など「劣」とラベリングされた人々は、サービスを受け、管理される施策の対象ではあっても、施策を決定する側の主体ではあり得ず、「当事者」としての主権性は非現実的な“画に描いた餅”でしかない。

ハンディキャップ(障害)の程度によって分断される(それぞれの障害に応じて適切なサービスを提供する、という名目のもと)設計思想を受け入れてしまっている私たちの現実があります。この優生思想を根底から疑うところから「共生」を探るしかないのでしょう。

 「当事者の意志決定」を尊重し、それへの支援をすべき、の理論はある。が、施策を考えたり決定する側から外されてきた「当事者」の意思決定は、受け身にならざるを得ず、確信的ではなく、流動的になりやすい。信頼できる味方、友人たちとの交流の中から、状況認識を深め、自分の気持ちを確かめ直し、次の選択ができることが理想なのだろうが、そのような人的資源に恵まれることは少ない。

当事者ということばの再検討が求められていると思う。
律法の中で何が最も重要か」の問いへのイエスの応答「自分自身を愛する如く隣人を愛せよ」とは、「隣人の困窮や喜びを自分の困窮や喜びとして分かち合うこと」と理解できる。
 どれほど善意に満ちた、経験豊かな支援であれ、支援と被支援の壁は残ったままになる。この壁をどう乗り越えていくのかは重要かつ緊急な課題と思われる。

先週の出来事
岸田総理大臣は、韓国訪問を終えて来日するバイデン大統領との首脳会談で、日本の防衛費の増額を表明する見通しとのニュース。「過ちは繰り返しません」の非戦の誓いはどこにいってしまうのだろうか。“なめられたらあかん!日本にも核兵器を”などと叫ぶ人々が現れそうな気配を感じます。

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